VHSビデオデッキ(メカ)の動作と構造

VHSビデオデッキのメカブロック
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VHSビデオデッキ【VTR】の中身を見たいと思ったことはありませんか?

かなり精巧なメカになっているので、少しでも理解を深めると、かなりおもしろいです。

写真と動画で説明しましたので、VHSビデオデッキメカの動作と構造について、十分にお楽しみいただけると思います。

8mmビデオデッキメカについては、別ページをご覧ください!

「8mmビデオデッキメカの動作と構造」はこちら

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VHSビデオデッキメカは基板にハメ込む構造

VHSビデオデッキ内部のメカ全景

ビデオデッキ(VTR)は、次の3つの要素で作られています。

  1. 電源や映像処理などの電気回路
  2. ビデオテープを駆動させるためのメカ
  3. 電気回路やメカを制御するためのソフト

このページでは、この3つの要素の内、2番のメカの動作や構造について紹介することにします。

上の写真は、VHSビデオデッキのメカブロック全体を上から見たものです。

VHSビデオデッキのメカの機能は、ビデオテープをデッキ内に受け入れて、カセットの中からテープを引き出し、「回転ヘッド」にテープを巻き付けて、動作走行させたり、早送りや巻き戻しなどの動作を行うために作られた複雑な構造を持つメカニックです。

ほとんどのビデオデッキは、電子回路を構成するプリント基板(以降PCBと呼びます)上にメカブロックを載せて、電気的な接続を行い、物理的にも固定する構造となっています。

簡単に言うと、メカをビデオデッキのPCBにはめ込んで一体化させているのです。

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ビデオテープ挿入時のメカ動作(動画)

VHSビデオデッキメカにビデオテープを挿入した時の動作状態をビデオで紹介します。

ビデオテープ取り出し時のメカ動作(動画)

VHSビデオデッキメカからビデオテープを取り出す時の動作状態をビデオで紹介します。

VHSビデオデッキのメカ動作や、主役となる部品や構造について、以下に詳しく解説していきますので、参考にしてください。

メカ心臓部「回転ヘッドのドラム」の構造

VHSビデオデッキ内部のメカ部分のドラム周辺

メカブロックの中央にある円形の部分が、ドラムブロックです。

太鼓の様な形状をしていることから、この様な名称がついています。

ドラムブロックの上の方に小さなPCBがついていると思いますが、この部分がモーターになっていて、ドラムブロックの上側を高速回転させています。

上ドラムを、一定スピードで滑らかに回転させると共に、ヘッドとの信号接続も行っています。

上ドラムがアルミ色で、下ドラムが少し煤んでいるのが分かると思いますが、ギラギラして見える上ドラムだけが高速回転します。

よく見てください。

このドラムブロックですが、斜めに傾く構造となっているとは思いませんか?

この傾いた構造によって、上ドラムに取り付けられたヘッドが、ビデオテープを斜めに走査する様になっているのです。

VHSビデオデッキ内部のメカ部分のビデオヘッド部

もう少し詳しく見てみましょう!

上は、ドラムブロックを拡大した写真です。

ギラギラの上ドラムには、5本の筋が入っています。

この筋は、テープの安定走行のために付けられた溝です。

そして、写真中央部分には、四角い穴が開いているのが見えますでしょうか?

この四角い窓から、少しだけ顔を出しているのが、ビデオヘッドです。

このビデオヘッドは、ビデオデッキメカの心臓部分と言っても良い存在で、最低2つは取り付けられています。

スロー再生の画像を良くするためや、Hifi音声に使用するためなどに、多くのヘッドが付いたタイプのビデオデッキメカもあります。

ビデオヘッドは、ドラムよりも数ミクロンだけ飛び出ている構造となっていて、その製造には厳しい管理が要求されました。

ビデオテープとの信号やり取りを行う繊細なチップなので、少しでも汚れると、画像の乱れの原因となります。

画面にノイズが多くみられるようになったら、このヘッドをアルコールなどでクリーニングすることで、改善できます。

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キャプスタンモーター

VHSビデオデッキ内部のメカ部分のCTR/オーディオヘッドとキャプスタン周辺

上の写真は、キャプスタン付近の構造を撮影したものです。

右の方に、土台が黒い円形になっている金属製の円柱状のシャフトが見ていると思いますが、これがキャプスタンです。

このシャフトは、メカの裏側につながっていて、モーターの回転軸となっています。

キャプスタンは、向かい側にある黒いゴム材質のピンチローラによって押さえつけられたビデオテープを、一定スピードで動作進行させる役目を果たしています。

低速・高トルクで、むらなく回転するキャプスタンモーターによって、安定した画像と音声を作り出します。

CTL/オーディオヘッド

もう一つ重要な機能を持つ部品が、CTL/オーディオヘッドです。

上画像の中央部分に上部にPCBとコネクターの付いた部品が見えると思いますが、これがCTL/オーディオヘッドです。

このヘッドは、オーディオテープデッキなどのヘッドと全く同じ作りとなっていて、テープ安定走行のためのコントロール信号と音声信号を記録再生するためのヘッドとなっています。

テープの上下のエッジ近くで、コントロール信号と音声信号を、記録再生します。

ヘッドの下側にへこんだ様な部分が見えていると思いますが、この部分が記録再生する部分となっています。

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モータ駆動でファンクション動作を切り替える構造

VHSビデオデッキ内部のメカ部分のファンクション用モーター

写真の上部に、円筒形の部品が見えると思いますが、これがファンクションモーターです。

ファンクションモーターの回転軸には、ウォームギアの付いているのが見えると思います。

このウォームギアによって、モーターの下に黒く円形に見えているカムなど動かし、ローディングアームを動作させたり、ピンチローラを着けたり離したり、様々なファンクション動作を実現させる構造となっています。

DCモーターを使用し、逆回転もさせることで、自在なファンクション動作切り替えを可能としています。

リール台

VHSビデオデッキ内部のメカ部分の巻取リール台

リール台は、ビデオテープが挿入されて、メカにハメ込まれた時、テープのリールと噛み合う部分です。

リール台は、巻取側と供給側にそれぞれあって、下側に見えるギアによって、駆動力が伝えられる構造となっています。

VHSビデオデッキ内部のメカ部分の供給リール台

少し黄色っぽい輪っかの様なものが、いずれのリール台にも見受けられますが、これらはブレーキです。

リール台の動作を停止させる必要のある時に、ソフトの指令によって、ブレーキをかけるのです。

VHSビデオデッキ内部のメカ部分の後ろ側から見た全景

上の写真は、ビデオデッキメカを反対側から見た写真となります。

リール台と、ヘッドドラムやキャプスタン・CTLオーディオヘッドなどとの位置関係と構造が分かります。

ビデオテープが向こう側から入ってきて、リール台の上に収まる動作を想像することもできると思います。

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ヘッドクリーナーがとてもカワイイ

VHSビデオデッキ内部のメカ部分のヘッドクリーナー

ヘッドクリーナーは、初期のビデオデッキメカには、ありませんでした。

ヘッド汚れ不良の修理依頼が増えたことによって、追加された機構です。

これって...「とってもカワイイ」って思いませんか?

こんな複雑な構造のメカの中に、こんなにカワイイ部品があると、ホッとします。

このヘッドクリーナーは、いつもヘッドと接触しているわけではありません。

ローディングとアンローディング時の一瞬だけ、ドラムに接触して、黄色い部分がくるくる回りながら、ヘッドを掃除してくれます。

テープローディング用アーム

VHSビデオデッキ内部のメカ部分のローディングアーム

ローディングアームは、画面中央付近の上下に一対ある白いスリーブと金属ポールが立っている部品です。

この方向からは見えませんが、シャーシの裏側で、このアームがカムとつながっていて、先ほど説明したファンクションモータによって駆動されます。

テープが上から降りてくると、このローディングアームが、テープの内側に入って、カセット内からテープが引き出されます。

実際に、テープを入れた時の写真を見るとよくわかると思いますが、テープを引っ掛けて、ヘッドドラムに巻き付けて、固定する役目を担っています。

動きを見ていると、カタカタと揺れながら、進んでいきます。

このカタカタ動作が、何とも頼りない感じがするのですが、これがテープをスムーズに引き出す工夫なのです。

無理やり、直線的に引っ張り出すのではなく、計算されたガタツキと言う遊びを作ることで、テープにダメージを与えることなく、ローディングしているのです。

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ビデオテープを挿入してみる

VHSビデオデッキ内部のメカ部分にテープを挿入したところ

ビデオデッキメカにテープを挿入してみます。

テープを奥まで挿入すると、テープが挿入されたことを検知して、テープローディング動作が始まります。

テープを入れる場所は、メカの2階のイメージで、そのテープを1階へ降ろすような動作をして、テープリール上にテープをハメ込みます。

VHSビデオデッキ内部のメカ部分にテープが落ちていくところ

同時に、テープの保護用の前面フタを開けて、ローディングアームをテープの内側にセットします。

そして、すぐにローディングアームが動き出して、テープを引っ張り出します。

VHSビデオデッキ内部のメカ部分にテープがローディングされたところ

横から見ると、上の写真の様になって、ローディングアームがテープをヘッドドラムに巻き付けているのが観察できます。

VHSビデオデッキ内部のヘッドドラムにテープがローディングされたところ

上から見ると、テープの位置が良く分かります。

ビデオテープの走行は、左側(供給側)から右側(巻取側)へ移動していきます。

最初に触れる場所は、消去ヘッドです。

左側のテープの出口付近にある黒い部品が、消去ヘッドで、録画する時には、ここで信号を消去してから、録画することになります。

供給側のアームローディングを経て、ヘッドドラムに巻き付いてから、巻取り側のアームローディングにつながります。

二つのアームローディングによって、テープは「ピン」と張った状態で、ヘッドに接触することが出来ます。

テープは、さらに右下にコネクターの付いた部品に、送られていきますが、これがCTL/オーディオヘッドです。

さらにその先では、キャプスタンとピンチローラーによって、テープを挟んで駆動していますが、写真ではカセットの前面フタの陰になって、見えなくなっています。

VHSビデオデッキ内部のメカ部分にテープがローディングされた全景

上の写真は、カセットローディング動作が完了した時のビデオデッキメカ全景です。

これまで説明してきた動作のすべてを制御しているファンクションモーターが、右上に見えています。

こんなに繊細で細かい動作を、このモーターが作り出しているって...すごい技術だと思いませんか?

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テープローディングした時のクローズアップ写真を何枚か用意しましたので、お楽しみ下さい。

VHSビデオデッキ内部のヘッドドラムにテープが巻き付いているところ

上の写真は、巻取側アームローディング/CTL・オーディオヘッド側から見たヘッドドラムブロックです。

VHSビデオデッキ内部の供給側ローディングアームにテープがかかっている様子

上の写真は、反対側の供給側アームローディングと消去ヘッド付近のクローズアップです。

VHSビデオデッキ内部の消去ヘッドにテープが当たっている様子

上の写真は、同様部分ですが、テープの内側まで覗く角度のクローズアップです。

VHSビデオデッキ内部の巻取側ローディングアームにテープがかかっている様子

上の写真は、巻取り側のピンチローラが見えるクローズアップです。

VHSビデオデッキ内部のピンチローラがテープを送っている様子

上の写真は、ピンチローラのクローズアップです。

VHSビデオデッキ内部の供給側ローディングアームにテープがかかっている様子

上の写真は、供給側ローディングアームのクローズアップです。

VHSビデオデッキ内部のCTR/オーディオヘッドとドラムにテープがかかっている様子

上の写真は、巻取り側ローディングアームとヘッドクリーナーのクローズアップです。

「ビデオデッキメカの動作と構造」を、お楽しみ頂けましたら、幸いです。

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