VHS-Cカセットの構造
VHS-Cカセットテープは、VHSフルカセットテープの約1/3の大きさ。
ベータマックスに対抗して、開発されました。
後に発売された8ミリビデオに対抗する形で、ビデオカメラに搭載されて、売り上げを伸ばしました。
VHS-Cカセットの記録フォーマットが、VHSフルカセットテープと完全互換となっているため、専用アダプターを使えば、一般のVHSテープデッキで使用できる点が評価されました。
VHS-Cカセットの大きさは、92mmx52mmx23mmと、コンパクト。
テープ記録時間は、20分30分40分と短めです。
VHS-Cカセットは、サイズが小さい分、記録時間が短いのは当然と思いますが、対抗していた8㎜ビデオが120分の記録時間であったことから、記録時間の短さが、シェアを落とす原因の一つとなりました。
また、VHS-Cカセットは、テープ保護用のフタが容易に開いたり、テープが弛みやすい構造となっていたため、子供がいたずらして、カセットハウジング内からテープを引き出してしまったり、テープが弛んだまま機器に挿入することで、テープ巻き込み事故の発生することもありました。
映画「バック・トゥー・ザ・フィーチャー」パート1に登場するビデオカメラをご存じでしょうか?
1985年から、時を超えて1955年に持参したビデオカメラは、JVCのVHS-Cカムコーダーで、VHS-C初の一体型カメラでした。
当時、最先端の技術であった証明であるとも思えます。
VHS-Cカセット用アダプターの構造
VHS-Cカセットは、直接再生できるビデオデッキがほとんど販売されていませんでした。
そのため、VHS-Cビデオカメラで撮影して、同じカメラで再生するか、VHS-Cアダプターを使用してフルサイズのVHSビデオデッキで再生するのが一般的でした。
当時、VHSビデオデッキは、多く普及していたので、アダプターを使用してカメラで撮った映像を楽しむ人が多くいました。
これが、VHS-Cアダプターです。
左側のケースの様な部分に、VHS-Cカセットを挿入して使用します。
アダプターの右側が、プラスチックケースになっているのですが、実はこの中にはかなり複雑なメカが入っています。
VHS-Cアダプターをひっくり返して、裏側を見ると、リールの様なものと歯車が見えますが、さらにその奥の見えない部分に、歯車が合計4つほど入っていて、モーターのウォームギアにつながっています。
なんとビックリすることに、VHS-Cアダプターは、モーターを使って、アダプター内にVHS-Cテープをローディングさせて、オリジナルサイズのVHSテープを同じ条件となる様にするのです。
考えた人は「スゴ~イ!」と感心してしまいます。
上の写真は、VHS-Cアダプターのテープ面を開けたところです。
左右にスリーブの様なものが見えると思いますが、この部分がテープを引っ掛けて引っ張り出し、テープを広げて、オリジナルVHSテープと同じ位置に設置してくれます。
VHS-Cカセット用アダプターの使用方法
VHS-Cアダプターは、VHS-Cカセットを、オリジナルVHS用のビデオデッキなどで録画再生するための器具です。
アダプターにVHS-Cカセットを挿入して使用するのですが、事前準備が必要です。
このVHS-Cアダプターは、電池駆動式なのです。
アダプターの横に、電池ケースがありますので、単3電池を1本入れて準備します。
アダプターに電池を入れたら、電池ケースのすぐ近くにあるスイッチをスライドさせてみてください。
「ジーッ」と言う音がして、メカが動作すると思います。
アダプターのCカセットを入れる部分を見ると、テープを引っ張り出すためのアームが左右から出てきて、テープポジションまで進んできます。
そして、ちょっとビックリするかも知れないほど、いきなり、カセットを入れる部分のフタが「パカっ」と開いて、停止するのです。
アダプターの蓋を手で閉めれば、また「ジーッ」と言う音がして、アームが見えないところへ移動して止まります。
何度もやってみたくなる様な、カワイイ動作なんです。
実際にVHS-Cカセットを入れてみます。
VHS-Cカセットは、テープの弛んでいることがありますから、テープを挿入する前に、テープについている歯車を指で動かして、テープをしっかりと張った状態にしてから、挿入してください。
テープを入れる方向は、写真の通りで、アームについているスリーブにテープが引っかかる方向となります。
テープを挿入する時には、垂直方向にゆっくりと挿入してください。
少しでも斜めになっていると、引っ掛かって全体が収まりません。
完全に挿入されていない状態に見えた時には、アダプターの裏側の穴から指を差し込んで、VHS-Cカセットの押し上げる様にしながら、水平になるように位置合わせを微調整すると、簡単に正規な位置にハマります。
VHS-Cカセットがピッタリ挿入されましたら、VHS-Cアダプターの蓋を閉めます。
すると、また「ジーッ」と言う音がして、アームがテープをオリジナルVHSテープと同じ位置まで移動させてくれます。
本当に、オリジナルテープの位置までテープが来ているのか...アダプターの前面フタを開けて、見てみましょう。
VHSテープを扱った方ならご存じだと思いますが、テープ保護用の前面フタの横にプッシュボタンがありますので、そのボタンを押して、前面フタを開けてみます。
写真の様に、オリジナルVHSテープと同じ位置にテープが配置されているのが分かります。
写真では見ずらいですが、VHS-Cカセットから引っ張り出されたテープが、2つのアームに付いたスリーブに引っ掛けられて、前面に幅広く固定されている姿が観察できます。
これで、VHS-Cカセットは、VHS-Cアダプターにセットできました。
あとは、テープの入ったアダプターを、通常のVHSビデオデッキに挿入して、録画・再生すれば、動画を記録したり、鑑賞したりできる様になります。
テープデッキでの使用が終わりましたら、テープを取り出します。
テープを入れる時に使用したスライド式のスイッチをスライドさせます。
すると、また「ジーッ」と言う音がして、自動的にテープをアンローディングしてから、ケースが「パカッ」と開きます。
テープを取り出す時には、アダプターの裏側の穴に、指を入れて押し出すと、簡単に取り出せますので、お試しください。
コメント