ビデオテープの不良症状
ビデオテープの主な不良症状は、以下の通りです。
これらについて、簡単に解説します。
テープ切れ
テープ切れは、文字通りビデオテープが切れてしまった不良症状です。
2種類の切れ方があって、それぞれ修理方法が異なります。
結構多いのが、テープの巻き始めや巻き終わりの終端部分で切れてしまう症状です。
テープエンド透明部分の端で切れているので、すぐに判別がつきます。
この様なテープ切れは、ビデオテープを分解して、切れているテープリールを取り出し、テープリールの中心付近にある終端固定用の留め具を外して、テープ終端部を取り付けなおせば修理できます。
もうひとつの切れ方は、テープの途中で切れてしまう症状です。
通常の使用方法では、まず切れることはありませんが、テープがカセットから出てしまった時やビデオデッキにテープが噛み込んでしまい無理やり取り出した時などに、切れてしまうことがあるのです。
この様なテープ切れは、テープ接合を行わないと修理できません。
このページでは、このテープ接合の方法について詳しく解説することにします。
テープ貼り付き
テープ貼り付きは、保管中に巻き取られたテープが巻取りの上下で貼り付く症状です。
テープに付着した異物が、テープを長期保存することで、巻き取られたテープの上下まで浸透して固まることで貼り付いてしまう症状です。
下の写真は、貼り付いたテープのサンプルです。
このサンプルは、ビデオテープ走行中に、貼り付き症状によってテープが切れてしまいました。
この貼り付きは5層から6層に亘って発生していて、テープ走行の引っ張り力でテープが裂けて切れてしまいました。
いずれにしても、貼り付いている部分について、テープを切断してその前後をつなげる接合修理することで、映像が見れるようになります。
切り取った部分に記録された内容は、見れなくなります。
テープ巻き込み等ダメージ
ビデオテープがビデオデッキに噛み込んだり、子供のいたずら?などでビデテープがカセット内から外に出てしまい、ぐちゃぐちゃになってしまうことがあります。
軽度なダメージであれば、そのまま再生することもできますが、ダメージがひどい場合には、ダメージ部分をカットすることになります。
ダメージ部分を再生しても、きれいな画像を見ることは出来ません。
また、ビデオデッキに噛み込んだり、子供が汚れた手でテープを直接触ったりすると、ビデオヘッド汚れの原因となる場合がありますので、カットした方がベターだと思います。
ダメージ部分をカットしてから、テープ接合することで、見れるようになります。
切り取った部分に記録された内容は、見れなくなります。
テープカビ
ビデオテープは、長期保存しておくとカビの発生することがあります。
特に高温多湿環境でカビが発生しやすくなりますから、倉庫や押し入れの奥の方などに保管されていたテープに発生しやすいです。
カビは、ビデオテープの記録内容に直接大きな影響は与えませんが、カビの付いたテープを走行させると、テープデッキがヘッド汚れ不良となってしまい、再生する事ができませんので、事前に取り除く必要があります。
弊社では、ダビング前にカビ取り作業を実施するオプションがありますので、そちらをご利用下さい。
ビデオテープの接合方法
切れてしまったビデオテープの接合方法について解説します。
前述の「テープ貼り付き不良」や「テープ巻き込み等ダメージ不良」についても、不良個所をカットしてからテープを接合しますので、同じ方法で接合することになります。
ビデオテープ接合は、次のステップで進めます。
それでは、ビデオテープ接合を始めましょう!
ビデテープの接合に用いる材料や道具
ビデオテープの接合に用いる材料と道具は以下の通りです。
- 良く切れるハサミ
切れ味がとても良いハサミを用意してください。
使い古したハサミを使うと、切断面がきれいにならないので、問題発生の原因となります。 - ピンセット
接合テープを貼り付ける時に、接合テープを台紙から剥がしたり、テープ位置をピッタリ合わせる時に使用します。 - 綿スムス作業手袋
ビデオテープに直接触れる手指に使用します。
手の油成分がテープに転写して、ビデオヘッド汚れ不良の原因となるのを、防止します。
- 接合テープ
ビデオテープを接合する修復用の専用接合テープです。
下の写真の「LPL接合テープVST-12」がおすすめです。
ビデオテープのカット方法
切れたビデオテープを、そのままの状態で接合することはできません。
切れているテープ切れ目の形状と、もう一方のテープ切れ目の形状が、同じでは無いからです。
違った切れ目形状のテープを接合すると、テープが部分的に重なったり大きな隙間が空いてしまったりして、使用できないビデオテープになってしまいます。
切れたテープ両端の切れ目形状を、同じ形状にするため、合わせカット処理を行います。
まず、接合するテープ末端をカセットから引き出して、表裏が同じ向きになる様に上下に合わせます。
上下に合わせたテープが、ピッタリ同じ位置に合う様に位置調整します。
上下のテープが、ピッタリ同じ位置に合ったら、良く切れるハサミでカットします。
切れ味の悪いハサミを使うと、切断面がきれいに仕上がりませんので、必ず良く切れるハサミを使ってください。
上手く切れなかったら、もう一度テープを合わせて同じ様にカットすれば良いです。
ビデオテープの接合方法
ビデオテープを接合するには、専用の修復接合テープを使用します。
当社では、LPL接合テープVST-12を推奨しています。
接合テープをピンセットで台紙から剥がします。
必ずピンセットを使用して剥がしてください。
指などで接着面を触れてしまうと、接着力が低下しますので、注意が必要です。
台紙から剥がした接合テープを、接着面を上にしてテーブルの上に置きます。
そして、その接合テープの上に、ビデオテープを合わせて貼り付けます。
貼り付けはとても微妙な作業なので、落ち着いて作業して下さい。
貼り付け前に、テープの先端が、接合テープの中央部分に来る様に、慎重に位置合わせを行うのがコツです。
写真の様に、左手(左利きの人は右手)で、テープ接着位置を決めて、テーブルに押さえ付けながら、ピンセットでゆっくりと接合テープに乗せる様にします。
・テープを貼る面は、カセットパックにテープを戻した時に、接合テープが見えなくなる面の方です。
・テープがカールしていますが、凹側に貼り付ける様になります。
・逆面に貼り付けてしまうと、接合テープが直接ビデオヘッドに当たることになり、ヘッド破損の原因となります!
次に、もう一方のビデオテープの先端を接合テープの上に乗せます。
ピンセットで、ビデオテープを掴んで、もう一方のテープの切れ目にぴったりと合わせて、接合テープの上に乗せる様に作業します。
・2つのテープ先端が重ならない様にしてください。
・テープが重なると、そこからテープ剥がれが発生して、ビデオヘッドに悪影響を与えます。
接合テープの上にテープを置くだけで、接合テープに貼り付きますが、テープを裏返して、綿スムス作業手袋で接着面を押さえつけて、確実な接着とします。
これでテープ接着は完了です。
・接合テープは、ビデオテープ幅よりも少し小さめに作られています。
・接合テープが、ビデオテープ幅からはみ出さない様にして下さい。
・接合テープが少し斜めになっても、はみ出さなければOKです。
・テープが重なるのはNGですが、隙間は写真程度であればOKです。
コメント
ビデオデッキが故障しておりまして
ビデオテープが巻き付いて今にも 切れそうです。修復可能でしょうか?
ビデオテープの修復は可能です。
現在の状態を確認させてください。
Q.ビデオテープはデッキから取り出せていますか?
・テープが取り出せない場合は、デッキを分解して取り出す必要がありますので、当方での対応は難しいです。
・テープパックが取り出せていて、テープがデッキの中に引っ掛かっていて取り出せない状況であれば、2つの対応方法があります。
1)デッキを分解してテープの引っ掛かりを取り外して外へ出す。
2)テープをハサミで切断して取り出します。(通常1ヶ所切断してテープを引っ張れば取り出せます。)取り出したテープを弊社へ送付いただければ、テープの補修を致します。
(ハサミで切ると部分的に見れない部分が発生しますが、テープがダメージを受けた部分は、いずれにしても十分に再生する事はできないので、切ってしまって問題ないと思います。)
上記の要領でビデオテープカセットが取り出せれば、当方で対応可能となりますので、ご検討下さい。