アナログからデジタル時代へ
最近のデジタル化への進行は、すさまじいものがあります。
CDが発売されて音楽ソースがデジタル化されたと思っていたら、テレビまでデジタル化されて今日に至っています。
雑音が多かった音楽ソースが雑音から解放され、ゴーストの有るピンボケ画像だったテレビがゴースト無しの大画面鮮明画像で見れるようになったのは、スゴイ技術革新だと思います。
通信の世界もデジタル化が進み、携帯やインターネットの普及で世の中の暮らしも豊かになってきました。
でも、デジタル化で何が変わったのか...???
アナログとデジタルは、何が違うの...???
疑問には思っていても、良く分からない方もいるのではないでしょうか?
別に理解していなくても、デジタル機器は普通に扱えますし、その効果を十分に享受することが出来るのですが、ある程度は、その違いを理解しておきたいと思っている方もいらっしゃるのでは無いでしょうか。
このページは、そんな方々のために、アナログとデジタルの違いを、大まかに理解していただくために作成しましたので、参考にして下さい。
アナログ記録方式とは
まずは、アナログ記録方式について、解説します。
今や、見ることもなくなった存在ですが、「レコード」を例にして説明したいと思います。
(レコード販売が無いのに「日本レコード大賞」と言うの番組が存在しているのはスゴイ...笑)
レコードそのものを見たことが無い人もいるかも知れませんので、説明題材としては良くないかも知れませんが...
レコードには、長い円形の溝が掘ってあり、音の振動をそのまま溝に刻み付けています。
例えば、声をレコードに録音するなら、マイクで音を拾って、その振動を増幅して、そのままレコードの溝にその振動を刻み付けます。
レコードを再生するときは、レコードの溝に針を落とし、溝をトレースすることで録音された振動を針に伝え、その信号を増幅してスピーカーを振動させて音に復元します。
レコード針に耳を近づけると、再生音が聞こえてきます。
とても分かりやすいですよね~。
アナログ記録方式は、このレコードの様に、音や動画を、そのままの形で記録する方式なんです。
デジタル記録方式とは
デジタル記録方式は、どうなっているかと言うと、かなり面倒な処理を行ってからメディアへ記録しています。
その面倒な処理方法は、どの様なコーディング方式にするかによって、変わってくるのですが、複雑すぎるので、ここでは大ざっぱなイメージだけを説明しておきます。
音でも映像でも、デジタル記録するには、ある時点の音や映像を符号化します。
その符号化の仕方などは、方式によって様々なのです。
記録する時には、符号化したデジタルデータを連続的に記録し、再生する時は記録されたデータを順に読み出して、符号化されたデーターを音や映像に復元します。
音や映像がデータ化されることで、デジタル機器でそのデータを使用することが出来たり、メモリーに記録させたりできるので、便利に使える様になります。
後述しますが、デジタル機器には、ノイズに強くなったり、オリジナルのデータを、変化させること無く、何度もコピー出来るという利点もあります。
デジタル技術は、素人の理解を超えた難しい存在なのですが、使い勝手が良いので、レコードをかける様にCDをかけることで、デジタル技術が利用できるなど、不便は感じさせません。
アナログ機器のノイズ
突然、ノイズの話になってしまい、話がずれた様にお思いかも知れませんが、デジタル論議には必要な内容です。
ノイズが混入すると、音的には雑音が発生しますが、映像的には画像に点々や線が入ったり、輪郭にボケが発生したり...色々な症状が発生します。
なぜ、ノイズの話が、デジタル論議に必要なのかと言うと、アナログとデジタルでは、このノイズの影響がが圧倒的に違うのです。
データとしての扱いの容易さだけでなく、このノイズの影響を受けにくいという点が、デジタル化推進の要因なのです。
まずは、アナログ機器のノイズについて、説明します。
アナログ機器のノイズについては、レコード扱った事のある方には、説明は要らないかも知れません。
傷のついたレコードからは、ノイズが発生します。
それだけではなく、音楽が静かな部分にくると、ザーと言う嫌なノイズが聞こえてきます。
カセットテープをダビングすると、ノイズは増えるし、音質は落ちるし、ひどいことになってしまうのです。
これは、アナログ機器の避けて通ることのできない現象です。
デジタル機器のノイズ
では、デジタル機器の場合はどうなのでしょうか?
デジタル機器には、ノイズは無いのでしょうか?
そんなことはありません。
モザイク画面の様になった動画を見たころはあるんじゃないでしょうか?
これは、ブロックノイズと呼ばれていますが、デジタル機器でも、このようなノイズは発生するのです。
デジタル記録する時には、前述の通り、元の信号を符号化して記録します。
特徴的なことは、元信号を符号化する時に、符号化データの前後に、元信号を復元するための符号も符号化して記録することです。
何らかの問題が生じて、一部の符号がノイズで消えてしまったり、変化してしまっても、前後に記録されている符号から、真の値に復元されるのです。
上の写真の様に、CDやDVDに大きな傷が入っていても、何ら問題なく音楽を聴けたり、動画を見たりできるのは、この修復機能が働いているからです。
修復機能が働いている間は、画質や音質に変化はありませんし、ノイズも発生しません。
確かにスゴイ機能なんだと感心させられます。
でも、この修復機能にも限界があります。
修復限界を超えた大きな傷(ノイズ)が入れば、デジタル機器でもノイズが顕在化します。
先ほど話したブロックノイズは、その例です。
この域を超えると、一気に再生できなくなり、再生不能に陥ります。
アナログなら、ノイズの中であっても、何とか見たり聞いたりできたものが、デジタルだと、クリアーだった音声や動画が、急に全く使えなくなくなってしまうという現象に至ります。
CDやDVDの表面を拭く時には、上の写真の筋の様に、外側から内側方向に拭き上げてください。
写真の様に大きな傷がついても、修復機能で復元できるので、問題なく再生できます。
円周方向へ拭くことで円周方向へ傷をつけてしまうと、修復のための符号が記録されている部分まで同時に破損させてしまうために、少しの傷でも再生できなくなってしまいます。
「アナログとデジタル」どっちのダビング画質が良いか?
画質の良さや音質の良さは、アナログとデジタルのどっちがイイのか...?
実は、この点は議論にはなりません。
記録時のノイズの大きさと言う面では、デジタル機器の方が優位に立つとは思いますが、画質や音質は、オリジナル信号の画質や音質がどれだけ良いかと言うことに左右されてしまうので、デジタルとアナログのどちらが良いかと言う論戦にはなりません。
ダビング後の画質や音質については、アナログとデジタル間で大きな差が発生します。
アナログ機器を使用してダビングを繰り返すと、画質や音質は低下し、ノイズは増加していきます。
だんだん、オリジナルの画質や音質は失われてしまいます。
デジタル機器の場合は、先ほど説明した修復機能が作用します。
ダビングを何度繰り返しても、一部にノイズによって変化してしまったデータがあったとしても、修復機能によって復元され、オリジナル動画やオリジナル音と全く同じデジタルデータが、ダビング記録されていきます。
つまり、オリジナルと全く同じものとなるコピーの作成が出来るわけです。
ビデオテープをデジタル化すると画質改善するか?
アナログ動画をデジタル化すると、画質はどうなるのでしょうか?
当工房においても、VHSテープを再生したアナログ信号をデジタル化して、DVD等のデジタルメディアに記録するダビング作業を行っておりますが、この辺は興味のある所ではないかと思います。
結論から申しますと、残念ながら、記録されていた画質や音質が、オリジナル動画よりも改善されることはありません。
元の画像より良くなるって...
いくらデジタル化したからと言っても、どう考えても出来ないですよね。
でも、少し違う観点があります。
以前、アナログのビデオデッキで見ていたVTRの動画は、アナログのテレビで見ていた訳で、このアナログテレビに存在するノイズの中で、動画を鑑賞していことになります。
DVD等へダビングした画像を見れば、デジタル化されたオリジナルの動画を、デジタルTVで鑑賞することになりますから、以前のアナログテレビ時代に甘んじて見ていたノイズを削減できる訳です。
古いアナログテレビは、色がずれたり、ブラウン管がヘタっていたりして、再現性が悪かったかも知れません。
そんな、古いアナログテレビの問題点が一掃されますから、DVD等へのデジタルダビングによって、オリジナル画像がそのまま忠実に再現される様になり、以前のアナログテレビ再生と比べて、画質や音質が素晴らしく改善されていると考えられます。
アナログテレビでは画面の周辺部分の画像が見れない設定になっていますので、デジタル化した画像では、これまで見えなかった動画のエッジ部分まで見えて来ることにもなります。
と言うことで、実質的には、ビデオテープのデジタル化で画質改善する効果があるのだと思います。
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