ビデオテープにカビの生える原因
カビの繁殖力って...スゴイですよね。
梅雨のシーズンになると、あちこちでカビが発生しますし、湿度の高いお風呂の壁や天井などは、一年中カビの脅威にされられています。
カビの生える原因環境は、程よい温度と多湿なんです。
カビが最も繁殖しやすい環境は、温度が20℃~35℃程度で、湿度が80%以上と言われています。
だから、お風呂の壁に発生しやすかったり、風通しの悪い湿気の多い場所に発生しやすいのです。
カビ発生の元となるのは、カビが放つ胞子です。
カビが成長すると、とても多くの胞子を放ちます。
その胞子が着地した場所で、また成長するので、加速的に増えていくのです。
カビにも栄養が必要です。
みかんなどの食物に発生するカビを見ると、栄養源の必要性が良く分かります。
でも、栄養源のなさそうな金属性の古いカメラなども、湿度の高い環境などに長期間保管すると、写真の様に酷いカビが発生してしまうことがあります。
カビの栄養源は多種多様で、食べ物だけでなく、人の手垢などの有機物やホコリなども栄養源となります。
カメラの場合には、人の手垢が栄養源となった可能性が考えられます。
ビデオテープも例外ではありません。
長期間、湿度の高い環境で保管したビデオテープは、かなりの確率でカビが生えてしまいます。
カビの栄養源を絶つことは困難ですので、カビが生えない様にするためには、保管する環境を良くするしかありません。
「湿度50%以下」の低湿度環境で保管すれば、長期間保管でもカビの発生はかなり抑えられます。
ビデオテープに限らず、貴重な物品を保管する場合、湿度50%以下の低湿度環境で保管すれば、カビの発生を予防できます。
ビデオテープに生えたカビの実例
実際にカビの生えてしまったビデオテープの例を紹介します。
ビデオテープに発生するカビの多くは、白色のカビです。
テープカセットパックの中を見て、白くなっていたら、カビが生えていると思ってください。
上の写真は、白っぽいカビが、テープ全面に広がっていて、かなりひどい状況です。
こちらのカビは、白いカビの塊があちこちに点在している状況です。
この様に、カビがあちこちに点在するケースの方が多い様です。
カビの発生したテープを、そのままビデオデッキで再生しないで下さい。
ビデオヘッドがカビで汚れてしまい、画像が見れなくなってしまいます。
この様にひどいカビが発生してしまっても、テープからカビを取り除けば、ビデオデッキで再生できるようになります。
弊社では、カビの発生したビデオテープについては、カビ取りオプションを選択して頂くことで、ダビング前にカビ取り作業を行い、ダビングに支障のない様に対応しております。
「軽度なカビ」と「重度なカビ」は、カビの大きさや発生範囲によって定義しております。
これから解説するカビ取り方法は、「重度のカビ」に相当するカビを除去するための方法です。
カビ取り作業用の材料と用具
重度のカビを取り除くのに使用する材料と用具は以下の通りです。
- 化粧用コットンパフ
アルコールを浸み込ますことのできる使い捨てコットンなら何でも良いですが、コットンパフは使い勝手が良いだけでなく、お安いのでおススメです。
- 無水エタノール
薬局で販売されている無水エタノールです。
他の薬品は、テープにダメージを与える恐れがありますから、必ず無水エタノールを使用して下さい。
ノズル付きの小さい容器に入れて使用するのが便利です。
- 綿スムス作業手袋
ビデオテープに直接触れる手指に使用します。
手の油成分がテープに転写して、ビデオヘッド汚れ不良の原因となるのを、防止します。
- テープ仮収納用箱
特別なケースは不要です。
ホコリを取り除いた段ボール箱(3辺合計120cm程度)があれば充分です。
4つの道具が揃ったら、早速カビ取り作業を開始しましょう。
ビデオテープのカビ取り方法
ビデオテープのカビ取り作業を始める前に、カセットパックの中から、ビデオテープが巻かれたリールを取り出さなければなりません。
ビデオテープの分解方法は、別ページにまとめてありますので、そちらのページを確認しながらテープを分解して下さい。
テープリールを取り出したら、このページに戻って、カビ取り作業を進めます。
まず最初に、コットンパフを2個用意して、アルコールを塗布します。
アルコールは、テープを清掃する部分全面に塗布します。
写真はコットンパフの中央付近にしかアルコールが見えませんが、テープをスライドさせる部分の全面に十分な量のアルコールを塗布します。
ビデオテープをアルコールを浸み込ませたコットンパフの上に乗せます。
もう一枚のアルコールを浸み込ませたコットンパフを、ビデオテープの上に乗せます。
二つのコットンパフを、「親指」と「人差し指+中指」で、テープを挟むようにして押さえます。
もう一方の手(写真では左手)で、テープを引っ張ってスライドさせ、コットンパフでテープをクリーニングします。
この引っ張り作業を次々と行って、ビデオテープ全体をクリーニングします。
クリーニングしたテープ表面のアルコール付着が無くなってきたら、アルコールを適宜追加します。
コットンパフの汚れ状態を見て、汚れてきたら、コットンパフを新しいものへ交換します。
クリーニングしたビデオテープは、写真の様に「テープ仮収納箱」へ入れていきます。
ビデオテープ1本分を全てクリーニングすると、この箱がテープでいっぱいになるくらいの量となります。
箱に入れるのは、クリーニングに使用したアルコールを蒸発させるためですので、すぐにリールで巻き取る様な事はしないで下さい。
テープが最後までクリーニングできたら、「テープ仮収納箱」に入っているテープをリールに巻き取ります。
リール台に付着しているカビや、カセットパックに付着しているカビも、リールへの巻取り前にクリーニングしておくと、新品同様のビデオテープに蘇ります。
カビ取り作業が完了したら、ビデオテープを組立て下さい。
以上で、ビデオテープのカビ取り作業は完了です。
コメント
すべてクリーニングした後、段ボール箱に入っているテープをリールに巻く際にねじれができてうまく巻き取れません。どうすれば良いでしょうか?
テープを段ボールに入れる時に、テープを回転させたりテープを混ぜ合わせたりしなければ、通常ねじれの無い状態で段ボール箱から取り出せます。
弊社では、巻取り用の治具を製作して巻き取っていますが、小さな段ボール箱の上半分をオープン状態にして、小さな段ボールの四隅の一か所にテープが抵抗なく通るほどのスリットを空けて、そこにテープを通し、テープリールを箱の中でぐるぐる回す様にすれば、スリットでテープのねじれが矯正されながら、問題なく巻き取れます。
テープを混ぜ合わせてしまって、こんがらがってしまった様な場合は、慎重に巻き取るしかないカモです。