ビデオデッキの主な故障原因
ビデオデッキが故障する主な原因は次の通りです。
- ヘッド汚れ
- テープが巻き込んで取り出せない
- ゴムベルト伸びなどのメカ部品摩耗
- 電気部品の故障
これらの中でも最も多い故障は、ヘッド汚れ不良で、不良全体の半分程度がヘッド汚れだったと言うサービス情報もあるくらいです。
でも、ヘッド汚れ不良は、わざわざ修理に出さなくても、クリーニングすることで修理やメンテナンスが可能なんです。
同時に、テープ走行系やゴム部品についてもメンテナンスすることで、テープ巻き込み不良やゴム部品スリップ不良などの動作不良についても未然防止できる様になります。
こちらのページでは、これらのビデオデッキメンテナンス方法について解説します。
ビデオデッキメンテナンスのポイント
ビデオデッキをメンテナンスする際の重要ポイントは、次の通りです。
- ビデオヘッド
- テープが走行する全ての経路
- ゴム部品の表面
1.ビデオヘッド
メンテナンスを行う際の最も重要なポイントは、ビデオヘッドです。
画像が砂嵐の様になったり、水平方向に画像ノイズが出る原因の多くはビデオヘッド汚れです。
写真の四角い穴の中に、コイルが巻かれた薄い部品が見えると思いますが、これがビデオヘッドです。
デッキの機能によって2個~6個のビデオヘッドが使用されていて、上ドラムと一緒に高速回転して、テープとの間で信号のやり取りをします。
ビデオヘッドは、とても繊細な部品ですので、十分に注意しながらメンテナンスする必要があります。
2.テープが走行する全ての経路
ビデオデッキを使い込んで来ると、どうしてもテープの走行した部分に汚れが付着してしまいます。
テープ走行系に付着した汚れが、ビデオヘッドに移ってしまいヘッド汚れを起こすことがありますから、テープが走行する全ての場所について、清掃メンテナンスする必要があります。
3.ゴム部品の表面
ゴム部品の中で、最も代表的な部品が、ピンチローラです。
ピンチローラは、キャプスタン軸との間にテープを挟んで、一定スピードでテープを駆動する役目を果たしています。
テープをスリップさせないために、摩擦係数の高い状態を常に保つ必要があります。
定期的にピンチローラーを清掃メンテナンスすることで、常に安定したテープ走行を継続することができます。
ピンチローラー以外のゴムベルトやゴムを使用したブレーキなどの部品についても、表面を清掃メンテナンスすることで、新しい状態で使用し続けることができます。
メンテナンス用ツール
清掃メンテナンス用のクリーニング溶剤は、以下の通りです。
薬局で普通に売っている「無水エタノール」を使用します。(エタノール C₂H₅OH 99.5%以上含有)
写真左側の様なノズルの付いた小さい小瓶に、少量づつ分けて使用するのが使いやすいです。
ハンドラップなどのアルコール専用容器も使いやすいと思います。
昔売られていたオーディオ用のクリーニングキットの溶剤を使用しても良いですが、残渣の残る傾向がありますので、「無水エタノール」の使用を推奨します。
メタノール(メチルアルコール)や消毒用アルコールは使用しないでください。
ゴム系部品に悪影響を与える可能性があります。
細かい部分のクリーニングは、エタノールを浸み込ませた綿棒で行います。
ビデオヘッドのクリーニング仕上げは、細かくて繊維性の少ない布を使って行います。
ビデオヘッド上に繊維が残ってしまうと、画像がまともに再生できなくなります。
ビデオヘッドクリーニングには、繊維性の少ない素材を使用して下さい。
ビデオデッキの走行系をクリーニングする
まず、テープ走行系のクリーニングを実施します。
ビデオテープは、カセット内から「ローディングアーム」と呼ばれる先端にリールのついた部品で、引っ張り出されて、ヘッドドラムに巻き付けられます。
テープが走行する時に接触する全ての部品について、クリーニングを実施します。
綿棒に無水エタノールをしみこませて、テープ走行系部品をクリーニングします。
上の写真は、テープローディング部分です。
ローラーとシャフトの両方共、外周を全てきれいにクリーニングします。
こちらのシャフトも同様に全周をクリーニングします。
カセットパック挿入口側から見て、ドラムの左側にあるのは、消去ヘッドです。
上から下まで、まんべんなくクリーニングします。
シャーシ上に緑色のものが見えると思いますが、これはローディングアームが移動するときに滑らかに移動させるためのグリス(油)です。
汚そうに見えても、このグリスは拭き取らないでください。
綿棒でグリスに触ってしまい、他の部分にグリスを付着させてしてしまうと、ヘッド汚れの原因になりますので、グリスには触らない様にして下さい!
上の写真はキャプスタンモーター部分です。
こちらも全周のクリーニングが必要です。
必要に応じて、電源を入れるなどして、位置を変えながらクリーニングして下さい。
ピンチローラはゴム部品です。
こちらも、手で回しながら全周をクリーニングします。
ピンチローラに強い溶剤を使用すると、ゴム素材が劣化してしまうことがあります。必ず指定の溶剤をご使用下さい。
カセットパック挿入口側から見て、ドラムの右側にあるのは、オーディオ/コントロールヘッドです。
こちらもテープが走行する前面をクリーニングします。
ヘッドドラムブロックの右奥に位置しているのは、ヘッドクリーナーです。
こちらの表面も全周をクリーニングします。
ゴムベルトなどのゴム部品がありましたら、そちらもクリーニングします。
ベルトは、プーリーと接触する面をクリーニングします。
(写真はベルト外側に当てている様に見えますが、クリーニングするのは、ベルト内側のプーリー接触面です。)
ビデオヘッドをクリーニングする
走行系のクリーニングが終わったら、ビデオヘッドのクリーニングを行います。
画像にノイズが出たり、砂嵐画像になったりする時は、ビデオヘッドに汚れが付着している可能性が高いので、ビデオヘッドをクリーニングすることによって修理できることが多いです。
まず、ドラムブロックのテープ走行面をクリーニングします。
写真は、下ドラムをクリーニングしているところです。
同様に、上ドラムについても全周をクリーニングします。
最後に、ビデオヘッドをクリーニングします。
ビデオヘッドは、写真の四角い穴の中にあります。
ヘッドの先端部分だけが、上ドラムの表面より数ミクロンだけ飛び出して取り付けられています。
少しだけ頭を出しているビデオヘッドの先端部分を綿棒でクリーニングします。
クリーニングは、優しく少し触れる程度で行い、決してゴシゴシと吹き上げる様なやり方はしないでください。
ビデオヘッド部分は非常にデリケートな部分ですから、ここに傷などを付けてしまうと、ドラム交換が必要となってしまいます。
きめ細かい布やセーム皮なとがあれば、メタノールを付けて、指で押さえてクリーニングして仕上げます。
布を指で押さえながら、上ドラムを他方の指で回せば、簡単にすべてのビデオヘッドをクリーニングできます。
ビデオヘッドは、最低2個ついています。
高級機種になると6個くらいついているものもあります。
全てのビデオヘッドをクリーニングします。
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